名古屋 脊柱分離症
2016-05-16
すべり症・分離症
≪主な病態≫
・すべり症:本来ならきちんと積み重ねられた状態になっている脊椎が、前方あるいは後方へずれを起こしてしまうもの。背骨には自然な弯曲が1あるため、何らかの理由で支えが弱くなると、椎骨のすべりが生じます。特に第4腰椎、第5腰椎がすべりやすい場所です。少しずつすべっていき、そのすべりが大きくなると、神経が刺激されることでさまざまな症状が現れます。
脊椎すべり症は、脊椎の分離が原因で起こる「分離すべり症」(第5腰椎に好発)と、老化による変性で起こる「変性すべり症」(第4腰椎に好発)の2つのタイプが主です。先天的な骨の形成不全のために起こる「先天性すべり症」もありますが、これはまれなケースです。
・分離症:脊椎分離症は、腰部の椎間関節の上関節突起と下関節突起の間に分離が起こり離れてしまうもの。分離してしまう原因は、生まれつき離れている例もまれにありますが、ほとんどは子どものころにスポーツなどで長期間繰り返し負荷がかかったために「疲労骨折」を起こしたものだと考えられています。少年期からクラブ活動などで熱心にスポーツに打ち込んだ経験がある、という人に多く見られます。
≪主な原因≫
・すべり症:原因は大きく分けて3つあり、1つ目は骨の変性や変形により骨折や捻挫などの外傷・椎間板機能の低下・姿勢の悪さ・骨密度の低下が原因です。2つ目は筋力の低下によるもので肥満や運動不足・片寄った食生活が関係しています。3つ目は筋肉の疲労によるもので激しい運動・仕事での負担による筋肉への負担・姿勢の悪さが関係しています。
・分離症:中学生や高校生などの成長期である10代に多く発症し、スポーツで腰を何度も捻ったり重たいものを何度も持つなど、1階ではなく繰り返し腰に負担をかけることが原因になると言われています。一般の方だと5% スポーツ選手は30~40%が分離症だと言われています。
≪主な症状≫
・腰痛
脊椎分離症でも、脊椎すべり症でも現れる症状です。多くは慢性腰痛で腰の周囲に鈍痛が生じ、長時間にわたって立ち続けたり、同じ姿勢で座っていたり、歩き続けたり、重労働を行ったりした場合に、痛みがひどくなります。
・下肢の痛み、しびれ
脊椎すべり症が起こると、椎骨がすべることで、脊髄から枝分かれする神経の神経根に刺激が加わるようになります。分離すべり症では、疲労骨折で分離した部位が肥厚することで神経根を刺赦します。腰椎からは下肢に向かう坐骨神経が出ているため、腰椎のすべ
り症では、坐骨神経の神経根が刺激されます。これによって、お尻、太もも、膝の後ろ、ふくらはぎなど、坐骨神経に沿った部分に痛みやしびれ
が起こります(坐骨神経痛)。
・間欠性跛行
分離すべり症、変性すべり症で現れる症状です。椎体の後方には神経の通っている脊柱管が脊椎のすべりが大きくなると、脊柱管が狭くなり(脊柱管狭窄)、神経が圧迫されることがあります。腰椎にすべりが生じると、下肢を支配している神経が圧迫され、間欠性跛行が起こります。これは、ある程度の距離を歩くと脚が動かなくなり、座って休んでいると、また歩けるようになる症状です。立っていると脊椎のずれが大きくなって神経が圧迫されますが、座ると圧迫が緩むため、また歩けるようになるのです。
脊柱管狭窄が生じた場合には、間欠性跛行に伴って「会陰部の不快感・膀胱障害・直腸障害」などが現れることもあります。
・脊柱の変形
脊椎すべり症で現れる症状です。腰椎にはもともと生理的な前弯 (自然な前方凸のカーブ)がありますが、脊椎すべり症になると、椎骨がすべるためにこの反りが強くなります。さらにひどくなった場合には、脊柱が階段状に変形してしまうこともあります。
≪対策・改善方法≫
・足に痺れがある場合は運動をしない
痺れがなくなってからは15分程度のウォーキングなどから運動をすると良いですが、痺れのあるうちはすべっている腰椎が神経を圧迫している状態ですので、できるだけ運動は避けた方がよいです。筋肉をつけないとと思い腹筋などをするのは症状を悪化させてしまう可能性があるので控えましょう。
・体を温める
腰椎分離症の初期の場合、手で触った時に熱い感じがあると冷やしたほうが良いですが、その他の場合はお風呂にゆっくり入るなどして体を温め血流を促進してあげると症状が早く改善されます。
・背中(腰)を反らしすぎない
すべり症の場合、背中を反らしすぎるとすべっている腰椎がさらに前方へ滑る力が加わるため注意が必要です。
一番よい姿勢としては、猫背にならない程度に背中を伸ばすことです。ポイントは腰・背筋を伸ばすのではなく、お腹がつぶれないように少し力を入れてよい姿勢をキープするようにするのが良いです。