名古屋 肩の痛み
2016-05-24
肩関節には,屈曲・伸展,外転・内転,外旋・内旋という6つの種類の運動があります。このうち,肩関節においては,屈曲,外転・
内転という3つの種類の運動が主要運動とされます。主要運動とは,各関節における日常動作において最も重要なものをいいます。多
くの関節では主要運動は1種類しかありません。しかし,肩関節には,屈曲,外転・内転という3つの主要運動があります。
関節の機能障害は,原則として主要運動の可動域の制限の程度によって評価されます。ただし,一定の場合には,主要運動可動域のみ
ならず,参考運動可動域制限の程度をも併せて評価し,機能障害に該当するか否か判断されていきます。
肩関節における参考運動は,伸展,外旋・内旋の3種類になります。とくに,屈曲・伸展は,同一面にある運動の1つが主要運動とさ
れ,他が参考運動とされている例外的な運動となり,それぞれの運動が独立して評価されることになる珍しい例です。
肘関節には,屈曲・伸展の2種類の運動があります。屈曲・進展は同一面の運動です。肘関節においては,この屈曲・伸展という2種
類の運動を主要運動として取り扱います。肘関節には,屈曲・伸展の2種類の運動しかなく,かつ,屈曲・伸展の2種類の運動が主要
運動になります。
手関節には,屈曲・伸展,橈屈・尺屈の4種類の運動があります。手関節における主要運動は屈曲・伸展とされています。手関節にお
ける参考運動は,橈屈,尺屈とされています。屈曲・伸展は同一面の運動であり,橈屈・尺屈も同一面の運動です。したがって,屈曲
・伸展,橈屈・尺屈ともに同一面の運動の和が健側と比肩して機能障害所定の数値に制限されているか否かを測定していくことになり
ます。機能障害とは,「上肢の用を廃したもの」「関節の用を廃したもの」「関節の機能に著しい障害を残すもの」「関節の機能に障
害を残すもの」のことをいいます。
「上肢の用を廃した」とは,3大関節のすべてが強直し,かつ,手指の全部の用を廃したものをいいます。強直したとは,関節の完全
強直またはこれに近い状態にあるものをいいます。いわば関節が完全に動かなくなったか,これに近いような状態にあるものを指しま
す。「関節の用を廃した」とは,(1)関節が強直したもの,(2)関節の完全弛緩性麻痺またはこれに近い状態にあるもの,または
,(3)人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち,その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているものをいいま
す。(1)関節が強直したとは,関節の完全強直又はこれに近い状態にあるものをいいます。いわば関節が完全に動かなくなったか,
これに近いような状態にあるものを指します。これに近い状態とは,関節の可動域が健側の10%程度以下に制限された場合をいいま
す。「10%程度」とは,健側の関節可動域角度(脊柱にあっては,参考可動域)の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角
度とされています。関節の機能に著しい障害を残すものとは,(1)関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されている
もの,(2)人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち,その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの以外
のものをいいます。
「関節の機能に障害を残すもの」とは,関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に強度に制限されているものをいいます。
まとめると,上肢の機能障害とは,上肢部分の肩関節・肘関節・手関節のいずれかが動かなくなるか動きが制限されるようになってし
まったこと,あるいは肩関節,肘関節,手関節及び手指関節の全てが動かなくなってしまったことをいいます。